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フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫) (日本語) 文庫 – 2004/1/7

評論・文学研究, 河出文庫, 英米文学, 英米文学研究, ジェイムズ・ジョイス


フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫) (日本語) 文庫 – 2004/1/7の表紙

によって ジェイムズ・ジョイス

5つ星のうち3.4 5つ星のうち 18個の評価 人の読者

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良き読者たちの本。 『フィネガンズ・ウェイク』文庫化!  年頭に書店へ行って最初に買い求めたのは、自分の本である。 ジェイムズ・ジョイス『フィネガンズ・ウェイク』の文庫版。3分冊になる第1冊目だ。自分の本について書くのはいささか気が引けるけれども、筆者にとって2004年はこの1冊とともに明けた。しゃべらずにはいられない。  1991年に上梓した単行本のほぼ2分の1の文庫化――というと、一般読者はそれをごく単純な機械作業のように思うのではないだろうか。事実、通常のほとんどの単行本の場合、今日のコンピュータ技術はそれをいとも簡単にやってのけるはずである。しかしこの1冊目の場合、91年の時点で印刷所のコンピュータに記憶されたデータは使えなかった。総ルビやJIS規格外の漢字などが保存されていないからだ。したがって最初から組み直す段階、正確には打ち直す段階から始めねばならなかった。  そして校正。通常の文庫本の場合、有能な校正者なら1冊をものによっては3日もあれば終えると聞く。担当してくれた、むろん有能な校正者が、この文庫1冊に1ヶ月かかった。校正者のことを考えると、さきほど「自分の本」といったのを取り消したい気持になる。それが恐ろしいくらいに大変な仕事であるのを、痛いくらいよくわかるからだ。  痛いくらい、いや、実際に目が痛くなる日々だった。校正者の赤字で真っ赤になったゲラを筆者が見直す段階での話。予定より大幅に遅れた。見直すと、たんに誤植ではなく、不満な訳語も目につく。1個所を訳し直すのに1晩かけたこともある。結局、この1冊目の刊行が2ヶ月遅れた。  nephew(甥)という英語を逆綴りにしたwehpenというジョイス語がある。これの訳語を作ったのは10年以上前だ。甥という文字の左右を逆にして、左に男、右に生を配置した。そして「いお」とルビをふった。『フィネガンズ・ウェイク』翻訳で用いた例外的な創作文字である。いや、創作文字だと思いこんでいたし、そう公言していた。  ところがちょうど校正中、それが実在する文字であることをある読者から教えられた。「俗字の字典」 という実に充実したサイトをもつ福田雅史さん。 http://hp.vector.co.jp/authors/VA000964/html/zokuji.htmにぜひアクセスされたし。音は「せい」で、諸橋大漢和辭典にも収録されている。かくてその個所も訳し直しをした。 それにしても甥の左右逆の文字があることを知っていて、しかもそこまで細かく拙訳を読んでくれている読者がいることに感激する。「自分の本」という言い方を引っ込めたくなる。正確には良き読者たちの本なのだ。  この1冊目に、まさしくジョイスフルな文章が加わった。大江健三郎さんの序文である。一切の序文依頼を断ってきた人だ。この文庫のために初めて序文をお書きになった。もはや「自分の本」とだけいえない。書店の文庫の棚や出版社の文庫目録から漱石や鴎外が消え始めたのは、いつ頃だったろうか。 今やまともな外国文学は文庫で入手できない。そんな状況で『フィネガンズ・ウェイク』を文庫版で読めるということを吹聴しても、譏(そし)りは受けまいと思う。 (柳瀬尚紀・訳者)

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